OFFICE LOVE






「中尉、この書類を頼む」

 ロイは別の書類に目を通しながら、リザに数枚の書類を差し出す。

「わかりました」

 受け取ったリザは、その書類にクリップで留められたメモがあるのに気づいた。

 5時にいつもの処で


「…………………大佐、これは何ですか?」

 とロイの目の前に、メモを突き出す。

「何って、メモじゃないか」
「それは分かっています。私が言っているのはこのメモに書かれた内容のことです」
「ははは、オフィスラブっぽくていいだろう」

 ロイは爽やかな笑顔で答える。
 リザは溜息をついた。

「大佐……馬鹿なことをなさらないで、さっさと仕事をしてください。今日も残業をなさるおつもりですか」

 リザはメモをゴミ箱に捨て、ロイに渡された書類を持って執務室のドアノブに手をかけた。

「まだ、君の返事を聞いてないのだが?」

 ドアを開けようとしていた手が止まる。
 そして、後ろを振り向かず、

「大佐しだいです。間に合わなかったら帰ります」

 と言って執務室を出た。

「なら、何としてでも間に合わせなければな」

 ロイは扉を見つめたまま呟いた。


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 これは、卯月が『オフィスラブ』って単語を大佐に言わせたいが為に書いた代物です。
 約束の時間に間に合ったかどうかは、皆さんのご想像にお任せします。
 でも、最初の掲載一番目のUPの作品にするには短い気が……。
卯月 静