ザ・テンペスト 【dressing】 にを呼んできてくれと言われ、土方は渋々の部屋に行く。 なんで自分が、と思わなくはないが、は今手が放せないからと言い、尚且つ今がやっているのは、総悟のサボリが原因で増えた土方の仕事の手伝いだったりする。 それならのやっている仕事を自分がすればいいのだが、途中までがやってて、そこから土方がやれば効率も悪い。 それならを呼びに行くくらいしてやってもいいかという結論に到ったのだ。 「。が呼んでるぞ。いつまでかかってんだ。入るぞ」 「えっ?! まだ、開けないでっ!!!」 どこかでやったやり取りにも思えなくはないが、の声が聞こえた時には既に遅かった。 土方は襖を思いっきり開けている。 土方の目に入ったのはの姿。 しかも、着替え中だったらしく、下着はつけて居るものの、着物は着ていない。着るはずだった着物で前を隠してはいるが、チラチラと見える。 その姿に、土方は固まってしまった。 は顔を真っ赤にしている。 「キャァァァァァァァーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」 「おわっ!!!」 の大音量に、我に返り襖を閉めたが、その声で隊士達がわらわらと集まってきた。 「ちゃん、何があったっ?!」 近藤が血相を変えて駆け寄ってくる。 「トシっ!!! さっきの叫び声はっ?! ちゃんに何がっ!!」 土方がしまったと思った時には周りに隊士が駆けつけていた。 「いや、アレは」 「土方さんが、の制止を聞かず無理矢理……」 「総悟ォォォ?! 何言っちゃってんのォォ!!」 事情を話そうとした土方の声に被せて、沖田が答える。 「俺ァ、嘘は言ってやせんぜィ」 確かに嘘は言ってない。 の制止を聞かず、無理矢理襖を開けた。しかし、あれでは、土方がを、無理矢理襲おうとした、と聞こえる。 「うわぁ、副長、サイテー」 「副長、ムッツリだから……」 「女の敵」 「色魔」 「ずりぃ」 と、隊士達は言いたい放題だ。 「だから、違ぇって言ってるだろっ!!!」 「じゃあ、さっきの声はなんですかィ?」 「あ、あれはだな……が……着替えてるの知らなくてだな……」 顔を赤くしつつ、答えにくそうに答える土方だったが、沖田がハッキリと言った。 「の裸を見たわけですかィ! 最低ですねィ、副長失格でさァ」 「違げぇーーよ。下着姿だ」 「へぇ〜。下着姿を見たわけですかィ」 土方は思いっきり口にしてしまい、墓穴を掘ったと思ったが、隊士の目は先ほどよりも厳しい物になっていた。 「何の騒ぎだ?」 土方が必死に誤解を解こうとしている中、が暢気に来た。 「、さっきのはなんだ?」 の声に、皆の注目が襖に向い、いつの間にか着替え終えていたが居た。 「着替えの途中に、土方さんが入ってくると思わなかったから、ビックリしちゃってつい……」 の顔はまだ赤いが、笑いながら答える。 「十四郎……」 流石に妹の下着姿を覗かれて怒るのか。と皆が思っていたが……。 「いくら、女に飢えてるからって、こんな幼児体形見なくてもいいだろう。言えば女紹介してやったってのに。そもそも、お前なら選り取りみどりだろう」 「「「「「って違うだろっ!!」」」」」 の予想外な言葉に、その場の全員が突っ込んだ。 「トシィィィィ!!!! ちゃんは嫁入り前だよっ!! なのに、なのにっ!!!!」 「だから、近藤さん、直ぐ閉めたから見てねぇって」 近藤は泣きながらトシを責める。 「なんでィ。見てないんですかィ」 「当たり前だろ」 「で、何色だったんですかィ」 「ピンクだったな」 「………………っ!? いや、違っ!!」 「これだからムッツリは……」 否定するも、誰も信じない。 「もう、いいですよ。私は気にしてませんから」 「……」 「可哀想なんで、これ以上土方さんを責めないで下さいね」 が言うならと、隊士も近藤も納得し、隊士達は戻って行った。 「悪かったな……その……」 「いいですって。下着姿くらい。いちいち気にしてたらここじゃやっていけませんって。でも、今度は気をつけて下さいね。それと、近藤さん悪いんですが、鍵もつけて貰えますか」 「ああ、そうしよう。早くすればよかったな」 「ありがとうございます」 が普通の反応で、土方は正直ホッとした。泣かれたりすればどう対応していいか分からない。 朝の準備があるからと、食堂へ向かうだったが、途中で止まり、振り返る。 「ああ、そうだ、土方さん。この間、帝富丹ーで可愛いネックレス見つけたんですよ」 にっこりと一言言い残して、は去って言った。 「めちゃくちゃ、気にしてんじゃねえか……」 終 オマケ 「十四郎。いいモン見れただろ」 「手前ぇ、態とか。呼んで来いなんておかしいと思ったぜ」 「さぁな。総悟はいいモン見れただろ」 「傑作でしたぜィ。を見た時の土方さんの顔ったら」 「総悟、お前最初からいたのか。つーか、、お前総悟に教えてやがったのかっ!」 「さん、また面白いモンあったら教えて下せェ」 「おうよ」 「手前ぇらっ!!!!!! 叩っ切ってやる!!!」 戻る 卯月 静 (08/05/20) |