girasole
【12】
ショックが大きかった為か、は数日目を覚まさなかった。
体に異常は無い為、今の所は大丈夫だと医者から言われてはいたが、ディーノは心配で、のもとを片時も離れなかった。
彼女の寝ている部屋で仕事をする。そうすれば、いつの目が覚めても一番に会える。そう思ってのことだった。
「……」
いつものように、の傍で、眠る彼女を眺めていた。
すると、の瞼がゆっくりと開いた。
「っ!!!」
はゆっくりと、体を起す。そして、ぐるりと部屋を見渡すと、ディーノに視線を戻した。
しかし、彼女の第一声は、ディーノの予想もしていなかった言葉だった。
「ここ、どこ? お兄ちゃん、だあれ?」
「……何言ってるんだ……」
「お兄ちゃん、父さまは?」
の問いかけに、ディーノは動けない。一体、何が今起こっているのだろうか……。
「ボス、嬢ちゃんの様子はどうだ?」
ノックと共に、ロマーリオが入って来た。
「?」
ロマーリオを見るなり、は、ディーノの服を掴み、隠れるようにしている。
心なしか彼女が怯えて、震えているようにも感じた。
「、どうした?」
ディーノは出来るだけ恐がらせないように、優しく声をかける。ロマーリオは状況が分からず、不審げな表情をしている。
「そのおじちゃん……こわい……」
ディーノと恐いと言われたロマーリオは目線を合わせる。特にロマーリオに、を恐がらせるような要素があるようには思えない。
「、どういうことか…………俺に教えてくれるか?」
は、ロマーリオを睨み付けたまま更にディーノの服を掴む。
「だって……おじちゃん……父さまとをころしにくる、こわい人たちといっしょの服きてる」
物騒な発言に、ディーノとロマーリオの表情が固くなる。取りあえず、を怯えさせたままではいけないと、ディーノはロマーリオに上着とネクタイを外すように言う。
「ほら、。これで、あのおじちゃんは恐くないだろ?」
「おじちゃん……をころしたりしない?」
「嬢ちゃんを恐い目に合わせたりしないぜ」
その言葉に、はやっと警戒心を解いたようで、ホッとしたように笑う。
「なあ、。さっき、とお父さんを殺しにくるって言ったよな? どういうことだ?」
「ゆめを見たの。おじちゃんみたいな服きた、こわい人たちが、と父さまに銃をうってくるゆめ。いつも、父さまはしんじゃうの……」
ディーノは今にも泣きそうなをそっと抱きしめる。そして、宥めるように、頭を撫でる。
「大丈夫だ。俺がを守るから……」
「……うん……」
小さく呟くと、はディーノの腕の中で眠ってしまっていた。
「で、ボス。どういうことだ?」
不思議には思ったが、質問するべき状況じゃないと思っていたのだろうロマーリオは、が眠ったことで、やっと尋ねた。
「俺にも分からない。でも……は、俺のことを忘れていて、俺のことを『お兄ちゃん』って呼んでた」
そして、ロマーリオの服装を恐がるということは、夢の中で、を狙ったという男達は、マフィアかもしれない。彼女がボンゴレの門外顧問の姪だということは知っている。しかし、彼女とその父親が狙われる理由が分からない。彼女はツナの母親の親戚とばかり思っていたのだが……。
「ロマーリオ。悪いが、ボンゴレに連絡をつけてくれねーか」
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卯月 静 (09/03/10)