JOKER #6 −騒ぐ時は周りの迷惑を考えましょう−



 朝、は登校しようとしてドアの前で立ち止まった。  ドアの向こうは大変な騒ぎになっていて、とても出られたものじゃない。

「さすが、学園NO.5ってことか……」

呟いたの声は呆れ気味だった。

「おはよう、ちゃん」
「おはよ、ヒトミ」
「すごい人だよね」
「だな……。さっさといなくなってくれないと確実に遅刻するだろうな」

 はドアの外を見ながら答える。

「そろそろ、少なくなったみたいだから、大丈夫だろ」

 外は大分人が減っていた。
 きっと彼らが登校したからだろう。

 二人は周りを気にしつつ外に出た。
 先ほどの騒ぎはすっかり収まり、数人の生徒しかいなかった。

「あー!! クンよっ!!」

 平穏に登校、とはいかないようだ。
 声が上がったあと、すぐにの周りに人が集まってきた。

「なぁ……ヒトミ……。私、この状況以前にも覚えがあるんだけど」
「うん。私もだよ……。去年、ちゃんがここに住んでるって分かった時と同じだね」

 やっぱり……。

 はモテる。
 それは恋愛感情というのではなく、大半は人気者といった意味でだ。
 容姿こそ可愛いが、言葉遣いや仕草から、少年といった印象を持つ
 そのためか、男女共にに好意を抱く。

ちゃん……このままだと遅刻……」

 ヒトミが遠慮気味にいいながら、と時計を交互に見る。
 始業まで後二十分。
 ここから、学校までそんなにかからない。普通にあるけば、余裕で間に合う。

 だが、この人が集まった状態では動けず確実に遅れる。

「悪いけど、このままじゃ授業に遅刻するから離れてくれない? ここでなくても学校で会えるんだしさ」

 言葉自体は少しキツイ。
 しかし、困ったような表情で言われれば、離れないわけにはいかない。
 ここで、文句を言って、に嫌われるのはイヤなのだから。
 これで、晴れて無事登校できるようになった。


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卯月 静