JOKER #7 −朝食は金、昼食は銀、夕食は銅−



 何とか今日は遅刻せずに間に合った。
 しかし、は気にかかることがあった。

 今朝のヒトミの朝食の量だ。

 先日入居してきた男の子(しかもかっこいい)と百合香に言われたことでかなり体形を気にし始めているようだった。
 そこから考えれば、ダイエットを始めたのは間違いない。
 もちろん、ヒトミの食べる量はもともと通常の女の子の量以上だ。しかし、それでも、急に量を減らせば倒れてしまうのではないかと思う。

「若月センセに言っとくべきか?」

 この学校の保険医である若月龍太郎。
 男性の養護教諭という珍しい存在。
 保健室でタバコは吸うわ、セクハラすれすれ(的には確実にセクハラだと思うが)の発言はするわ、の不良教師。
 しかし、腐ってもといえば失礼だが、生徒からの人望は厚いし、面倒見もいい。
 男女関係なく、龍太郎のところに相談に行っているようだ。

 はチラッっとヒトミを見る。
 心なしか顔色が悪いのは気のせいなのだろうか?

「ヒトミ?大丈夫か?」
「……う、ん。大丈……」

 ヒトミから「大丈夫」という言葉は最後まで発言されずその途中で倒れてしまった。

「ヒトミッ!!」

 が声を上げたのに反応し、傍にいた優、梨恵、そしてさっきまで話していた颯太も声のほうに注目する。




「ん? ここは?」

 いつの間にかヒトミはベッドの上にいた。
 起き上がり見渡すと、どうやらここは保健室のベッドのようだ。

「よかった〜。先輩急に倒れるんだもん、僕ビックリしたよ」
「気分はどう? 朝殆ど食べてなかっただろ? だから倒れるんだよ」

 不意に掛けられた声の持ち主は颯太と
 颯太は安心したように、は少し呆れ気味にだったが。

「なんだぁ? お前ダイエットでも始めたのか?」

 この場の主である龍太郎がヒトミに問う。

「で? 今日朝は何食べたんだ?」
「えーと、ご飯3杯に、鮭の塩焼き3尾と味噌汁5杯に……」

 ヒトミは指折りしながら今朝の朝食を言っていく。

「イタッ!!」

 言ってる途中でデコピンされた。

「それだけ食ったなら十分だっての」

 という言葉と共に。

「何するんですかぁ?」

 ヒトミはデコピンに対する抗議を上げる。

「ダイエットするなら俺がメニュー作ってやるから、意味のないダイエットはするな、ホラッ」

 といいながら、龍太郎はヒトミにマドレーヌを投げた。

「どうせ、何か食わねーと力でねーだろ。それでも食っとけ」
「やった。ありがとう、先生」

 そして、今度は颯太とに向き直り、さっさと教室に戻れという。
 ヒトミもなんとか大丈夫そうだし、と颯太とはヒトミと一緒に保健室をでた。


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卯月 静