ザ・テンペスト
【 Valentine's Day -for Sogo- 】



 目当ての人物は、案の定、縁側で昼寝をしていた。
 昼寝をしているから、休憩中という方程式は、彼には当てはまらない。彼、沖田総悟はサボりの常習犯だ。仕事中だろうと休憩中だろうと関係ない。

「総悟、起きてるんでしょ」
「なんでィ」

 アイマクスをずらし、を見上げる。

「はい。リクエストの」

 は沖田にチョコを差し出す。
 沖田は、体を起こし、受け取ると、早々と包装を破る。折角綺麗にラッピングしたのに……と思う。

「俺だけ特別ってことは、は俺に惚れてんのかィ?」
「何言ってんの。総悟が他の奴と同じのは嫌だって言ったんでしょーが」

 バレンタインデーの数日前に、沖田はにチョコを作るか聞いてきた。隊士に作ると答えると、沖田は他の野郎と同じならいらないといった。言うだろうと思ってしたから、仕方なく、沖田のだけ別に作ったのだ。

「で、味はどう?」
「中々のもんだと思うけどねェ」
「本当っ!!」

 はにこにことしている。

「土方の野郎にもあげたのかィ」
「んーん。土方さんのは他の皆と一緒の奴。そんなに作りわけてられないって。隊士の数結構多いんだしさ」
「へー」

 土方にもあげず、他の隊士にもあげてないと聞き、沖田は嬉しそうだ。

「ホワイトデーには何かやるから、期待せずに待ってなせェ」
「やった!」

 本当に嬉しそうに喜ぶを見て、本当に自分よりも年上だろうかと疑問に思うことがある。
 しかし、嬉しそうなをみると、沖田も嬉しくなる。なんだかんだで、彼女のことを気に入っているのだ。
 沖田は気分がよくなったので、今日は珍しく巡回に行くつもりになった。


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卯月 静 (09/02/14)