ザ・テンペスト 【 Valentine's Day 】 真選組屯所の台所から、似合わない甘い匂いがしている。 台所に立っているのは。明日はバレンタインデーなので、隊士たちに義理チョコでも渡そうと思っているのだ。 土方や沖田、そして、兄のを含め、その他一部の者達はバレンタインデーにチョコを貰うことも出来るだろうが、大半はくれる相手がいないだろう、とは思っていた。 日ごろいろいろと世話になることもある。大体は女中であるが世話をしているという立場だが。 小さめの袋に入った、数個のチョコ。どれも同じラッピングで同じ大きさ。 だが、その中で一つだけ、他とは違うラッピングで少し大きめの物があった。 これは、隊士たちにあげるものとは違う。他のは台所において、自由に取ってもらう予定だが、これは手渡しする予定だ。 「喜んでくれるかな〜」 はウキウキと弾んだ声でチョコを見つめていた。 バレンタインデー当日。 食堂に、チョコの小袋を容れた箱を置く。バレンタインのチョコだと一言添えたカードを置き、自由に取ってくれと一言添えた。 これで、隊士たちへの義理チョコは完了だ。 さて、次は例のチョコだ。 はそのチョコを持って、食堂を出た。 副長室へ行く。 今日もサボっているだろう廊下の縁側を探す。 万事屋へ行く。 終 戻る 卯月 静 (09/02/14) |